航空宇宙・防衛

航空宇宙・防衛業界はパンデミックの大きなインパクトが残る中、長期にわたる高成長の時代は過ぎ去り、その様相はセクター毎に大きく異なってきています。

民間航空宇宙分野は、航空路線の運航停止と航空機発注キャンセルの影響が強く、大きな打撃を受けています。世界的な景気後退が重なり、このセクターは今後長期にわたり回復が望めない可能性もあります。しかし、以前の不況時と同様、防衛・宇宙・セキュリティセクターは比較的堅調であり、状況を楽観視するような風潮もあるとともに、都市型航空交通（アーバン・エア・モビリティ）のような新たな事業機会・セクターの台頭も見られます。

斯様な環境下、各プレイヤーは「ニューノーマル」に適合するビジネスモデルや業務モデルの検討、人材・能力マネジメント戦略の見直し、プロダクトポートフォリオ・グローバルネットワークの再構築、オペレーションの合理化、急速な変化に柔軟に対応するためのコスト構造の転換を迫られています。

ローランド・ベルガーの航空宇宙・防衛チームは、民間航空・宇宙、防衛・セキュリティ業界のバリューチェーン全体に渡り、大手メーカー・サプライヤー、政府省庁、投資家などにアドバイスを提供し、設計から生産、サービスに至る戦略・運用面のグローバルなソリューションを提案します。

また、V字回復を狙うリストラクチャリングだけでなく、新たな成長と効率化の種を特定・開拓し、豊富な業界ノウハウや最先端の戦略的アドバイス、サステナブルな改善策を提供します。またデジタル技術を最大限活用し、大規模な変革にむけた構想策定およびその実行もサポートします。

パンデミックは航空業界に空前の歴史的打撃を与え、その影響は航空宇宙産業全体にまで及んでおり、実際、業界はすでにオペレーションの柔軟性に関心を向けています。

ローランド・ベルガーはプログラム・マネジメント、エンジニアリング、製造、サプライチェーン、サポート、サービスなど、業界の中核を担う領域でコンサルティングを提供しており、現在の複雑な危機を乗り切り、様々な企業に対し、具体的で目に見える成果を提供し続けています。

また、サステナビリティというメガトレンドは勢いを失っていません。むしろ、危機を通じて加速しているとも言えます。航空会社と航空宇宙企業は一様に、空の旅の排出量を実質ゼロまたは完全にゼロにするという野心的目標を明言しています。電動化、水素、SAFは何れも検討段階にあり、このセクターの大幅な脱炭素化につながる可能性を秘めています。加え、NOx（窒素酸化物）など二酸化炭素以外の温室効果ガスや大気汚染物質も、業界が完全にサステナブルになるには軽減が必要です。ファーンボロー国際航空ショーで弊社が発表した「Roadmap to True Zero」（完全ゼロへのロードマップ）は、民間航空宇宙企業と航空会社が脱炭素化とCO2以外の排出量の最小化をどのように実現できるかを提示しています。

都市型航空交通（UAM）業界では、数百社に上るスタートアップ企業が巨額の投資を集め、徐々に業界再編が進んでいます。中期的には有人ドローン市場の台頭が予想され、UAMプラットフォームは都市間飛行や空港シャトル便、都市タクシーなどに活用されると考えられており、2050年までには16万機以上の有人ドローンが稼働すると予想されています。

ローランド・ベルガーは既存企業と新規参入企業双方に対して、UAMなどの新テクノロジーの影響評価や、ビジネスモデルの構築、サプライチェーンへの影響評価等をサポートします。これらのサポートに当たり、ドローンや新動力源、システム・オブ・システムズ・モデルのエキスパート・チームが組成されています。

宇宙産業セクターは今まさに変革の真っ只中にあります。各国政府はこのセクターに多額の補助金を供給する一方、宇宙開発プログラムに関して民間プレイヤーとのリスク共有を推進する方針であるとともに、宇宙セクターへの投資による最大限の社会経済的利益を得ることを目指しています。この変化に伴い、政府との長期契約をめぐり既存企業に対する新規参入プレイヤーの攻勢が強まりつつあります。新規参入プレイヤーは、自社のオペレーティング・モデルの抜本的な変革により、低コストでの開発・製造を実現しており、既存企業は競争力維持のため自社改革を迫られています。加え、既存プレイヤーを含めた民間プレイヤーは多様な関連業界に利益をもたらす可能性のある、宇宙分野をベースとしたソリューションの開発を目指しています。

ローランド・ベルガーは、宇宙セクターで生じうる機会を官民それぞれが最大化できるようサポートを行います。弊社はこの分野の専門的ノウハウにより、宇宙セクターの動向がクライアントにどのような影響を与えうるかを熟知しており、変革を実現するための実践的な戦略策定を支援することが可能です。それにより、弊社は既存市場での成長と新規事業機会の獲得の両面から、クライアントの競争力の大幅な向上を後押しします。

国際的な脅威が続く現状を背景に、防衛支出は全体に底堅い需要が見込まれています。しかし、政府支出が新型コロナウイルス対策に集中していた中、防衛支出への割り当て優先順位の見直しが迫られており、調達が先送りされる可能性も示唆されています。

同時に、グローバルでの防衛市場環境のパラダイムシフトも進行しています。成熟市場では、顧客としての政府と防衛産業との関係や連携方法の再定義が進んでいる一方、新興国では国内の防衛産業確立に向け、他セクターのプレイヤーの動員を図っています。加え、C4ISR、サイバー・電子戦、無人航空システムといった技術的なメガトレンドが進展する一方、FCAS（将来戦闘航空システム）などの大規模な多国間プログラムがテクノロジーのゲームチェンジャーになり、業界の状況を塗り替えるきっかけになると想定されています。

ローランド・ベルガーは世界の陸海空防衛システムに携わるクライアントに対し、大規模な多国間プログラムに参画するための戦略の見直し、組織体制の再検討、セールス・マーケティング・アプローチの改善、製品のコスト構造改善、構成の最適化を支援します。また、例えば民間市場が難局にあるときは防衛産業への注力を強めるといったように、多角化しているプレイヤーがグローバルなトレンドの変化に応じて戦略を再構築できるようサポートを行います。

テロリズムやスパイ活動、移民問題など、様々な要因により生じた幅広い物理的な脅威やサイバー脅威により、セキュリティ産業は力強い成長を示してきており、この成長は今後も継続すると想定されます。公共の安全は経済成長と安定の重要な要因であり、現代の開かれた社会における生活の質の基盤であり、セキュリティ・システムは軍用施設を防御し、電力施設や港湾、海運、銀行、研究開発施設、生産拠点といった重要インフラの安全のかなめとなっています。またこれらは、多くの事業会社の役員会レベルでも重要課題として認識されるようになっています。

弊社のセキュリティ領域エキスパートは、成長機会を特定し、収益性のある事業につなげる支援を推進します。同時に、経営者が自社のセキュリティ・アーキテクチャーを見直し、ガバナンスと組織に必要な変化をもたらすようサポートします。

民間宇宙航空産業のアフターマーケット市場は、航空機利用と直結しているため、新型コロナの流行で大きな打撃を受けました。航空会社が大量の航空機の利用を停止し、メンテナンス支出の大胆な削減に踏み切ったことが原因です。航空輸送セクターが回復するにつれ、MRO収入も回復することが見込まれますが、今後市場に残るプレイヤーの数はコロナ前と比べ減少し、今後数年間で大きな業界再編が生じると予想されます。

ローランド・ベルガーは、メーカーとサプライヤーを支援し、事業の戦略的な方向転換やオペレーション効率の向上により、新たに生じた課題に対処できるように支援します。航空会社・その他事業者へのご支援ではメンテナンスコストの削減、MRO事業者へのご支援ではコスト構造と拠点配置の最適化、および売上拡大を図ります。また、航空機メーカーへのご支援ではエンドユーザーに最大限の価値を提供するバリューチェーン構造の再構築に取り組みます。