Computer on Wheels: The software-defined vehicle approach
Find out which impact software and new technologies have on the automotive OEMs and which challenges and opportunities the industry is currently facing.
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モビリティ産業の意思決定者はかつてない課題に直面しています。共有含めたモビリティサービス(Mobility)、自動運転(Autonomous driving)、デジタル化(Digitalization)、電動化(Electrification)のトレンド(MADE)によって、テクノロジーとビジネスモデルの抜本的変化が起きています。さらに、近年の地政学的緊張による「脱グローバル化」などの不安定な情勢や気候変動の加速から、モビリティ産業は複雑なグローバルサプライチェーンを再編し、新車の内燃機関(ICE)を電動パワートレインへと早急に移行することを余儀なくされています。
モビリティ産業の変革が必要なのは明らかです。事実、OEMはレガシー企業を筆頭に3つの変革の同時進行が求められています。この前例のない難局に対処できるよう自動車業界の経営陣を支援するため、ローランド・ベルガーは3つのPで構成される「Automotive Triple Transformation(自動車業界の3大変革)」フレームワークを作成しました。
ポジション(Position) - 未来の再考。地政学的緊張、MADEの課題、新たな競争、気候変動、顧客の期待の変化を踏まえて、今後、事業分野(市場、セグメント)、提供価値、事業ポートフォリオ、ビジネスモデルをどう変化させるか。
実践(Perform) - 現状からの再構築。現在のパフォーマンスをさらに高め、新たな産業構造における価値提案、事業ポートフォリオ、ビジネスモデルへの変革を実現し、その資金を確保するにはどうすればよいか。
発展(Progress) - 戦略の刷新。意欲的なサステナビリティとDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の目標を実現しながら、自動車業界の人材争奪戦に勝利し、未来に対応できるようにするにはどうすればよいか。
4大トレンドMADEが自動車業界に破壊的変化をもたらし続けています。コロナ禍前はシェアードモビリティの新サービスが急成長し、個人の乗用車所有率が低下した結果、新車販売台数も減少しました。そして、車両がシェアードモビリティ用とみなされることで、大手のOEMでさえ単なる車両提供者とのポジションになりかねないという見解も見られました。当然のことながら、コロナ禍によってこうした見解は一時的に薄まりましたが、長期的にはその方向性は変わらず、目下そのトレンドが復活しつつあります。
自動運転は、特にレベル4以上で距離当たりのコストが激減する見通しのため、シェアードモビリティの拡大がさらに強まる可能性があります。モビリティ産業ではデジタル化とソフトウェアが新たな差別化競争の舞台となり、OEMはテック企業とデジタル企業に対して苦戦を強いられているところもあります。電動化もこの1年で劇的に加速し、地方自治体や政府からは、ICE車を1~2世代後に全面販売禁止にするという発表が相次ぎました。これをきっかけとして、既存OEMの多くが大胆な電動化のコミットメントを発表しました。また、EVを専業とする新興のOEMとスタートアップ企業の株価が急騰し、その額は多くの既存OEMをはるかに上回っています。
破壊的変化はOEMにとどまりません。パワートレインサプライヤーも、将来の役割を明確化した上で、モビリティセクターの新たな高付加価値領域を見据えて、事業ポートフォリオを再構築する必要があります。既存のメガティア1のエレクトロニクスメーカーは、新興のテック企業やデジタル企業の勢いを阻止すると同時に、ハードウェアとソフトウェアの分離トレンドに対応できるビジネスモデルへと進化する必要があります。
OEMやモーター、ブレーキ、タイヤ、ドライブシステム、電子部品、車載インフォテインメントシステムなどを提供しているサプライヤーは、モビリティ産業の現実的な未来のシナリオに即して、未来の提供価値、事業ポートフォリオ、ビジネスモデル、パートナーシップ、投資について再考する必要に迫られています。
モビリティ産業は、コロナ禍による当初の販売台数低下から、驚くほど急速な回復を遂げました。しかし、その直後に半導体不足の危機が訪れ、2021年下半期には収益低下リスクが生じました。
電動化が劇的に加速し、変革のための資金を確保するのに必要なキャッシュフローが圧迫されています。当面、EVがICE車と同レベルの利益を実現することはないでしょう。消費者は、新たな体験を期待しています。また、デジタル化とソフトウェアの役割が広がり続けており、OEMは新たなアプローチ、新たな組織体制、イノベーションや機能への新たな投資が求められています。さらに、複雑なグローバルサプライチェーンは、脱グローバル化や頻発する自然災害に対して脆弱で、最終的には車両生産への脅威となります。ドイツ、日本、中国をはじめとする世界のOEMは、気候変動に合わせて自社の事業を再構築して堅牢性を高める必要があります。
販売台数を増やすには、顧客体験の大胆な変革、効率化、複雑さの軽減、コスト削減、サプライチェーンの堅牢性強化などが必要になります。同時に、モビリティ関連企業は、新たな能力を確立し、コネクテッドカーおよびオンデマンドのリアルタイムサービスを中核とした、新たな技術を開発する必要があります。このように、モビリティ産業はまさに難題に直面しています。
モビリティ関連企業が顧客、従業員、投資家との関係を維持するには、製品イノベーションや収益に注力するだけでは不十分です。組立ラインからディーラーまで、OEMから整備士まで、抜本的に再考する必要があります。
気候変動の明白な兆候、社会的正義に対する需要の増大、ワークライフバランスに関する期待の急激な変化により、企業を刷新するための集中的な取り組みが求められています。消費者は車両購入の決定時に、メーカーのサステナビリティや倫理基準に対するコミットメントをますます重視するようになっています。大手機関投資家は、厳しいESG基準を満たさない企業への投資をやめ始めています。さらに、変革を実現するうえで獲得が不可欠な新たな人材は、就職先を検討する際、サステナビリティ、気候変動対策、DEI、目標、勤務環境の柔軟性を考慮に入れる傾向が高まっています。
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