Sustainability presents opportunities as well as challenges for the packaging industry and is therefore driving rapid changes for companies of this sector.
サステナブル包装の変革にチャンスあり?
バリューチェーンに沿ったサステナビリティの審査
2021年は、約2,150億ユーロにも拡大し、今後も年々拡大が予測されているサステナブルな包装市場。消費者や規制当局から使い捨てプラスチックの使用量削減に向けた期待が高まる中、包装・梱包に精通した業界関係者達は新しい持続可能な解決策を見つけるべく、包装事業のバリューチェーンの精査を進めている。私たちは、この業界はどのように変化しているのか、どのような新しいタイプの消費者が出現しているのか、そして包装企業にとってのチャンスはどこにあるのかについて考察したい。
包装・梱包業界動向の把握
2021年の世界の包装市場規模は、約8,600億ユーロだった。そして、2025年までの期間にわたって年率4.7%の成長を遂げ、市場規模は1兆400億ユーロに達すると予測されている。この市場全体のうち、サステナブルな包装分野(再生紙やプラスチック・再利用可能なソリューション・バイオ素材による包装など、環境への影響が少ないパッケージング)が占める部分の成長は目覚しいもので、すでに2,150億ユーロに達していると考えられている。
我々が提供する「 STEPフレームワーク 」を活用したところ、現在の包装・梱包業界を形成していると思われる4つの主要なトレンドを捉えることができた。「サステナビリティと循環型経済」、「テクノロジーとイノベーション」、「エンドユーザーの関心とパーソナルな嗜好」、「パフォーマンス重視の組織」である。私たちは、このような包括的なトレンドを踏まえて、多くの企業に自社の事業活動を検証し、改善すべき点や市場とのギャップを特定するよう助言する。
新しい消費者像
もちろん、サステナビリティに関する消費者の行動は常に進化している。私たちは、いくつかの新しい消費者像を捉えた。最初に、私たちが「Individualism to the max(最大限の個人主義)」と呼ぶタイプに属する消費者像がある。これはフィットネスやアニマルフリー製品(動物性の素材を使用していない製品)から愛国心やアイデンティティーの確立に至るまで、さまざまな要素によって行動している人たちで成り立つ。このような人たちにサービスを提供するためには、包装企業は適切なブランド、自己表現の可能性、カスタマイズのオプションを開発することが重要である。
2つ目の消費者像タイプである「A totally green experience(グリーン体験派)」は、包装・梱包業界が気候変動に配慮した行動をとることを望む消費者たちから成るもので、包装プレーヤーたちはこのグループに向けて、材料科学の革新、製品の軽量化、新しいリサイクルオプションで応えることができる。
3つ目の消費者像タイプである 「Practicality on the go(実用性重視)」は、主に機能性と実用性を求める忙しい消費者たちで構成されている。こちらの人たちに向けて包装企業としては、軽量で持ち運びやすいソリューションなど、配達のしやすさや使いやすさを確保することが重要である。
最後に、「The effortless closed loop(楽々クローズドループ)」というタイプの消費者像のグループに含まれる人たちは、利便性と気候への優しさといった2つの要素のバランスによって行動されている。このような人たちのために、包装企業は最終的に完全な循環型社会を目指し、再利用可能な包装をニューノーマル(新しい生活様式)の一部にする必要がある。
バリューチェーンにおけるビジネスチャンス
消費者像タイプを理解することで、サステナビリティを実現する3つの主要な要素が明らかになった。これらの要素は、現在の包装の世界で見られるイノベーションのほとんどを推進するものである。また、これらの要素は、包装企業がバリューチェーンに沿って革新的で持続可能なソリューションを開発する可能性を秘めた重要な分野でもある。
#1 グリーン素材
FMCG(Fast-moving consumer goods)企業は、ガラスや金属といった従来のリサイクル素材に加えて、PCR(ポストコンシューマー・リサイクル)素材、バイオプラスチック、成型繊維を製品素材に取り入れる方法を注視している。包装企業にとって、再生プラスチックなどの素材からいかに包装を作るかが価値創造につながる。企業は、rPET(再生ポリエチレンテレフタレート)などのリサイクル材料に加え、高品質のPCR材料やバイオ材料などを安定的に供給する必要があるのだ。
#2 スマートとコネクテッドソリューション
スマートセンサーのコストが下がり、クラウドとビッグデータの利用がほぼ一般的になると、包装企業は消費者データを分析することで、データを最終的に顧客体験の向上につながるサービスに変換し、B2BとB2C両方のビジネスで価値を生み出すことができるようになるだろう。また、製品のライフサイクルに沿って包装を追跡することで、納期遵守、製品の安全性、偽造防止行動を改善し、価値を創造することも可能である。
#3 再利用性の概念
今後数十年の間に、使い捨てのプラスチックの使用は最小限に抑えられるだろう。家庭や店舗・飲食店での再利用や返却のソリューションがより広く採用され、消費者のためにクローズドループを可能にする新しいテクノロジーの必要性が高まっている。包装企業にとって価値創造とは、耐久性が高く再利用に適した革新的な包装・梱包の開発や、洗浄・殺菌・リサイクル・物流など、再利用に関連するサービスの提供などである。
イノベーションの実例
上記のすべての分野で、多くの新興企業がすでに活発に活動している。例えば、グリーン素材の分野では、再生プラスチックを日常消費財に組み込むための技術を開発したり、樹脂サプライヤーとパートナーシップを結んだりして、忙しく革新に取り組んでいる。スマートとコネクテッドソリューションの分野では、包装の使用状況や材料の流れを測定、追跡、トレースするための多くのイノベーションを生みだし、循環型ビジネスモデルへの道を開いている。
革新的な再利用のコンセプトには、センサーを使用した発生源での汚染を低減するスマートゴミ箱(家庭用・公共用・業務用)や、ロボット工学、機械学習、AI(人工知能)に基づく光学選別システムを使用したプラスチックを種類別に選別するMRF(material recovery facilities <資源回収施設>)での自動選別などのアイデアが含まれる。
行動すべき時
包装・梱包産業界は、使い捨てプラスチックの消費を減らす方法を編み出さなければならないといったプレッシャーを抱えている。世界的なブランドオーナーは、CPG(consumer packaged goods <消費者向けの包装・梱包商品>)のエコシステムにおいて、新たな取り組みや関連技術を持つ事業者とのパートナーシップへの出資で対応している。
包装企業が競争優位性を維持するためには、こうした過渡期に迅速に対応し、バリューチェーンを体系的に精査することでイノベーションの可能性がどこにあるのかを特定する必要がある。どのようなタイプのプレーヤーであっても、私たちの構造的なアプローチは、適切な機会を特定し、早期にそれを利用するのに役立つことだろう。
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